相続における限定承認とは?注意すべき点と相続放棄との違いを解説

2024-08-20

相続における限定承認とは?注意すべき点と相続放棄との違いを解説

この記事のハイライト
●限定承認とはプラスの財産を限度にマイナスの財産も引き継ぐ相続方法である
●限定承認の注意点は3か月以内に相続人全員で手続きをおこなうことや相続財産を処分しないことである
●限定承認と相続放棄は申立人・適用されるケース・メリット・デメリットに違いがある

相続時にプラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」を選択できることをご存じでしょうか。
限定承認であれば多額の借金があったとしても、その弁済を負う必要はありません。
そこで、相続における限定承認とはなにか、限定承認の注意点や相続放棄との違いについて解説します。
越谷市を中心とした周辺エリアで不動産を相続する予定がある方は、ぜひご参考になさってください。

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相続前に知っておきたい「限定承認」とは?

相続前に知っておきたい「限定承認」とは?

相続時には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つのいずれかから、相続方法を選択しなければなりません。
相続方法を選択する際は、現金や預金などのプラスの財産のみで判断するのではなく、借金などのマイナスの財産も考慮する必要があります。
ここでは、マイナスの財産が多い場合に有効とされる相続方法「限定承認」について解説します。

限定承認とは

限定承認とは、プラスの財産のなかでマイナスの財産を引き継ぐ相続方法です。
そのため、プラスの財産のほうがマイナスの財産よりも多ければ、差額が手元に残ります。
一方で、マイナスの財産のほうが多い場合は、プラスの財産を限度にマイナスの財産を相続するため、プラスマイナスゼロになります。
たとえば、プラスの財産が3,000万円でマイナスの財産が1,000万円だったと仮定しましょう。
この場合、差額の2,000万円が相続財産となります。
逆にプラスの財産が1,000万円で、マイナスの財産が3,000万円と、借金が多い場合を想定しましょう。
このようにマイナスの財産が大きい場合は、相続財産はゼロとなります。
限定承認を選択すれば、多額の借金があっても、相続人の財産から弁済する必要がないといったメリットがあります。

債務が多い場合でも先買権を利用できる

自宅など特定の財産を取得したいというケースもあるでしょう。
債務がプラスの財産よりも多い場合でも、限定承認なら鑑定人の定める相当な金額を支払うことで、特定の財産を取得することができます。
これを「先買権」と呼びます。
通常は、債務弁済のために相続財産である自宅を売却する際は、競売にかけなければなりません。
しかし、特定の財産を手放したくないという場合は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に基づいて、相続財産の一部もしくは全部の価額を弁済すれば、その競売を止めることができます。
たとえば、被相続人の自宅の価値が3,000万円で、借金が5,000万円あるとします。
この場合は、限定承認を選択すれば、鑑定人が評価した3,000万円を支払えば、自宅を確保することが可能です。
このように、限定承認であれば、先買権を利用し手放したくない財産を確保することができるのが特徴の1つです。

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相続前に知っておきたい限定承認の注意点

相続前に知っておきたい限定承認の注意点

続いて、限定承認を選択する際の注意点を解説します。
相続人の行動によっては、限定承認を選択できなくなる可能性もあるため、注意点についてはしっかりと把握しておきましょう。
主な注意点は以下の3つです。

  • 相続人全員がおこなう必要がある
  • 相続開始から3か月以内に手続きする
  • 相続財産の一部や全部を処分すると限定承認は選択できない

それぞれの注意点を順にご説明します。

注意点1:相続人全員がおこなう必要がある

限定承認の1つ目の注意点は、相続人全員が限定承認をおこなわなければならない点です。
つまり、1人でも限定承認に反対する相続人がいれば、限定承認は選択することができません。
ただし、相続放棄を希望する相続人が含まれる場合は、相続放棄をしても問題ありません。
相続放棄は、初めから相続人ではないという扱いのためです。
したがって、相続放棄をした相続人を除いた残りの相続人で共同で限定承認をおこなうことになります。
仮に相続人のなかに行方不明の方がいる場合は、特別に相続財産管理人を選任すれば限定承認することが可能です。

注意点2:相続開始から3か月以内に手続きする

2つ目の注意点は、限定承認を希望する場合は相続開始から3か月以内に手続きする必要があるという点です。
3か月を過ぎてしまうと、単純承認と見なされ限定承認は選択できないため注意しましょう。
なお、限定承認を選択した場合は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申し立てをおこなわなければなりません。
申請する際は、申述書のほかに被相続人と相続人全員の戸籍謄本、預貯金、不動産などの財産目録などの書類が必要です。
限定承認の場合は、手続きが多く時間がかかるため、早めに行動に移すことが大切です。

注意点3:相続財産の一部や全部を処分すると限定承認は選択できない

注意点の3つ目は、相続した財産の一部もしくは全部を処分した場合は、限定承認を選択できないことです。
このような行為は、自分の財産として扱ったと判断されるため、単純承認したと見なされてしまいます。
たとえば、被相続人の預貯金を解約したり、不動産を売却したりするような行為が該当します。

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限定承認と相続放棄との違い

限定承認と相続放棄との違い

最後に相続放棄との違いについて見ていきましょう。
相続放棄は、相続財産のすべて(現金や預金、借金など)を放棄する相続方法のことです。
相続放棄も限定承認と同様に、相続開始から3か月以内に手続きする必要があります。
限定承認と相続放棄の主な違いは以下の3つです。

  • 申立人の違い
  • 適用の違い
  • メリット・デメリットの違い

それぞれの違いについてご説明します。

①申立人の違い

まず大きな違いは、申立人です。
限定承認の場合は、前述したように相続人全員で共同して申し立てをおこなう必要があります。
一方で、相続放棄の場合は、1人でも申し立てすることが可能です。

②適用の違い

限定承認は、相続財産のなかにどうしても手放したくない財産がある場合に有効といえるでしょう。
一方で、相続放棄は、債務が明らかに多い場合などに選択すると有効とされます。

③メリット・デメリットの違い

限定承認と相続放棄には、メリット・デメリットにも違いがあります。
限定承認のメリットは、相続財産の範囲内で弁済できるので、相続人の財産を守れるといったメリットがあります。
また、デメリットは手続きが複雑で時間がかかることや、相続人の1人でも反対すれば限定承認を選択できない点です。
さらには、みなし譲渡と判断され、所得税が課される可能性がある点も注意しなければなりません。
一方で、相続放棄は、マイナスの財産を一切引き継ぐ必要がないという大きなメリットがあります。
また、相続放棄によって相続トラブルに巻き込まれる可能性もないでしょう。
デメリットは、プラスの財産も一切受け取ることができないことです。
また、相続放棄することによって、次の相続順位で相続権利が移るため、債務が多い場合は迷惑がかかることになるでしょう。

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まとめ

限定承認は、プラスの財産を限度にマイナスの財産を引き継ぐ相続方法で、相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てする必要があります。
相続財産のなかに、どうしても手放したくない財産がある場合や、借金が多い場合などには有効といえるでしょう。
ただし、限定承認をおこなう場合は、相続人全員で共同でおこなうことが条件で、1人でも反対する相続人がいると選択できないため注意が必要です。
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