年金受給者が不動産売却をすると年金が減額する?注意点なども解説

2024-02-20

年金受給者が不動産売却をすると年金が減額する?注意点なども解説

この記事のハイライト
●不動産売却によって利益が生じても基本的に年金の受給額が減ることはない
●不動産売却により利益を得たら譲渡所得税を納める必要がある
●75歳以上の後期高齢者が不動産売却をすると保険料が高くなる可能性がある

年金を受け取っている方が不動産を売却すると、受給額に影響があると耳にしたことはありませんか。
高齢者施設の入居を機に実家を売却しようと計画しており、年金が減るのではと不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、年金受給者が不動産を売却した際の年金への影響や税金との関係、知っておくべき注意点について解説します。
越谷市を中心とした周辺エリアで不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考にご覧ください。

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不動産売却をすると年金減額の対象になる?

不動産売却をすると年金減額の対象になる?

不動産を売却すると年金が減額されるとの噂もありますが、土地や建物を売却したからといって年金は減額されません。
そもそもなぜこのような噂が広まったのかというと、年金の仕組みをきちんと理解していない方が多いためです。
誤った情報を鵜呑みにしないためにも、まずは年金の基礎知識から確認しておきましょう。

年金には複数の種類がある

年金には種類があり、厚生年金と国民年金に大別されます。
厚生年金は会社に勤めている方が加入する年金で、国民年金は自営業や個人事業主の方が加入する年金です。
厳密にいうと、国民年金は20~60歳の日本国民全員が加入している年金なので、厚生年金加入者は国民年金にも加入しています。
そのため厚生年金に加入していた方が年金を受け取れる歳(65歳)になると、老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を受け取れます。
一方で国民年金に加入していた方は、厚生年金には加入していないため受け取れるのは老齢基礎年金のみです。

在職老齢年金も減額されない

厚生年金の一部に「在職老齢年金」があります。
在職老齢年金とは、60歳以上の方が働きながら受け取る老齢厚生年金のことです。
在職老齢年金は、給与や賞与の金額に応じて年金が減額または支給停止になる場合があります。
つまり「年金以外の収入が十分にあるなら年金を減額しても大丈夫だろう」と判断されるわけです。
この仕組みが、不動産売却により利益を得たら受給額が減るという誤解を生んだのでしょう。
しかし在職老齢年金に加入していても、不動産売却による年金の減額はありません。
なぜなら年金減額の対象は、あくまで給与や賞与といった労働所得に限るためです。
不動産売却により得た利益は労働所得には該当しないため、年金が減額されることはありません。

障害年金は減額対象になる可能性がある

不動産の売却によって支給額が減る可能性があるのは、障害年金だけです。
障害年金とは、病気や怪我によって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取れる年金です。
年金ときくと60歳以上から受け取れるものと考える方も多いですが、障害年金は基本的に20歳から受け取れます。
この障害年金のうち、20歳前に傷病を負った方の障害基礎年金に関しては、一定の所得制限があります。
そのため収入によっては、年金の支給停止または減額する可能性があると覚えておきましょう。

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年金受給者の不動産売却における年金減額と税金の関係性

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不動産売却により生じる利益を「譲渡所得」といい、譲渡所得には譲渡所得税が課されます。
この譲渡所得税は、年金受給者にも課税されるため、事前に計算方法や注意点を把握しておきましょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は住民税と所得税の総称で、譲渡所得に対して課税されます。
そのため譲渡所得税の金額を求めるには、まず譲渡所得を算出しなければなりません。
譲渡所得は売却価格から諸費用を差し引いた金額のことで、以下の計算式で求められます。
譲渡所得=不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費は不動産を購入するときにかかった費用、譲渡費用は不動産を売却する際にかかった費用を指します。
取得費と譲渡費用の合計が売却価格を上回った場合、譲渡所得は発生しないため税金は課税されません。
上記の計算式で算出した金額に税率をかければ、譲渡所得税額がわかります。
税率は、売却する年の1月1日時点で不動産の所有期間が5年を超えるかどうかで異なります。
また2037年までは、所得税に対して2.1%の復興特別所得税も納付しなければなりません。

  • 所有期間が5年超え:20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
  • 所有期間が5年以内:39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

所有期間が5年超えの場合は長期譲渡所得、5年以内の場合は短期譲渡所得と呼びます。

譲渡所得が生じたら確定申告が必要

不動産を売却して譲渡所得が生じたら、翌年に確定申告をして税金を支払う必要があります。
確定申告を怠ると遅延税などが課される可能性があるため、必ず期限内に手続きを済ませるようにしましょう。
なお不動産売却時には、税負担を軽減する特例が用意されており、要件に当てはまれば適用することが可能です。
たとえば「3,000万円の特別控除」は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この特例を利用すると、マイホームを売却した際の譲渡所得を3,000万円まで控除できます。
特例を利用するには一定の条件を満たす必要があるため、事前に国税庁のサイトで確認しておくと良いでしょう。

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年金受給者が不動産売却をするときの注意点

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最後に、年金受給者が不動産を売却するにあたり注意したいポイントを解説します。

納税資金を確保しておく

先述したように、不動産売却により利益を得たら、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税を支払うのは不動産売却をした翌年で、支払い方法は原則として現金の一括払いです。
売却時期によっては納税までに1年ほど期間があくため、税金のことを忘れてしまう方も少なくありません。
資金不足を防ぐためにも、事前にある程度の税額を計算して、納税資金を確保しておきましょう。

国民健康保険料が上がる可能性がある

75歳以上の後期高齢者が不動産売却をおこなうと、翌年の国民健康保険料が高くなる場合があります。
後期高齢者の国民健康保険料は前年度の所得によって決まり、譲渡所得も含めて計算するためです。
どれほど値上がりするかは自治体によって異なるため、あらかじめ市町村のホームページなどで確認しておきましょう。
なお、国民健康保険料は年金から差し引かれるため、保険料が上がるとその分支給される年金が少なくなります。
これも「不動産を売却すると年金の受給額が減る」といった誤解を生む要因になっているのでしょう。
しかし年金そのものに影響があるのではなく、保険料の値上がりによって手元に入る年金が減ったように感じるだけです。

入念な生活設計を立てる

不動産売却後の生活設計はしっかり立てておくことが大切です。
介護施設へ入居するか、新しく新居を購入するのかなど生活スタイルによっても出費は異なります。
また、引っ越し費用や施設への入居費用、新居の購入をどのように捻出するかも考えておかなければなりません。
もし譲渡所得が想像以上に多く発生した場合には、年金以外の収入を得られるよう、売却代金を運用するのもおすすめです。
いずれにしても入念な資金計画が必要なので、まずは1度不動産会社にご相談ください。

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まとめ

年金を受給している方が不動産売却により譲渡所得を得ても、受け取る年金が少なることはありません。
ただし譲渡所得が生じると譲渡所得税が課されるため、資金計画をしっかり立てておくことが大切です。
不動産売却時には税負担を軽減する特例が複数用意されているため、要件に該当する方は漏れずに活用しましょう。
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