2023-11-14
「心理的瑕疵」という言葉をご存じですか?
心理的瑕疵についてよくわからないまま不動産売却を進めると、大きなトラブルに発展する恐れがあります。
スムーズな不動産売却を実現するためにも、しっかりと理解を深めておきましょう。
そこで今回は、心理的瑕疵とはどのようなものなのか、心理的瑕疵が不動産売却におよぼす影響や、心理的瑕疵の告知義務について解説します。
越谷市を中心とした周辺エリアで不動産の売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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心理的瑕疵は、「しんりてきかし」と読みます。
また、心理的瑕疵のある不動産は、心理的瑕疵物件と呼ばれています。
まずは、心理的瑕疵とはどのようなものなのかについて理解していきましょう。
心理的瑕疵とは、「生活するうえで実用的な問題はなにもなくても、心理的に嫌悪感を抱く事情があること」です。
そして、そのような事情がある物件を「心理的瑕疵物件」といいます。
不動産業界では、不動産の不具合や欠陥を「瑕疵」と呼びますが、それらは一般的に雨漏りやシロアリ被害、壁のひび割れといった物理的瑕疵のことです。
一方、物理的には一切不具合がなく、それでも買主が「買いたくない」と感じる事情を心理的瑕疵と呼びます。
わかりやすい事例としては、自殺があった物件などです。
近年は心理的瑕疵をテーマにしたテレビ番組や映画も登場しているので、「事故物件」という言葉のほうが聞き馴染みがあるかもしれません。
事故物件と呼ばれる事情がある不動産は、売却の際に買主が見つかりにくいといった影響が出ます。
心理的瑕疵がある不動産を進んで購入したいと考える買主はほとんどいません。
そのため、心理的瑕疵がある不動産を売却する場合、売主は買主に心理的瑕疵について事前に説明する義務が生じます。
これが「告知義務」です。
告知義務については、別項でくわしく解説します。
心理的瑕疵がある不動産を売却する場合、事前に買主にその内容について告知しなければなりません。
では、告知義務が生じる心理的瑕疵とはどのような事象なのでしょうか。
ここでは、心理的瑕疵に該当する事象について解説します。
1:人が亡くなっている
殺人事件や事故、自殺などによって人が亡くなった、いわゆる事故物件と呼ばれるケースです。
事件や自殺による事象だけでなく、不審死、変死、焼死なども該当します。
一方、高齢者の自然死や、病気による死亡、あるいは自宅で体調をくずして病院で亡くなった場合などは、心理的瑕疵にあたらないという考えが一般的です。
ただし、死亡から発見されるまでの期間が長かった場合、遺体の体液やにおいが不動産にのこってしまう可能性があるため、告知義務が生じると考えておきましょう。
2:周辺環境に問題がある
売却する不動産自体に問題がなくても、周囲に嫌悪施設が存在する場合は心理的瑕疵物件とみなされる場合があります。
嫌悪施設とは、反社会組織の事務所や墓地、ゴミ処理場、葬儀場などです。
また、悪臭や騒音がひどい環境にあり、安心して生活できない不動産も心理的瑕疵物件に該当します。
3:悪い評判が出ている
インターネットや口こみなどで不動産に関する悪い評判が広がってしまうと、心理的瑕疵物件として扱われてしまう可能性があります。
評判の内容が事実かどうかに関係なく、買主から「その家に住みたくない」と敬遠されてしまうからです。
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心理的瑕疵があると、不動産を売却する際にどのような影響が出るのでしょうか。
心理的瑕疵物件は、「心理的瑕疵があっても購入したいと思えるメリット」がなければ買主がなかなか見つかりません。
そのため、一般的な市場の相場価格よりも、不動産の売却価格を下げるケースが一般的です。
しかし、どの程度の値下げが必要かについては、心理的瑕疵の内容や不動産の条件などによって判断する必要があります。
不動産の立地が良い場合などは、それほど価格に影響が出ないこともあるでしょう。
過去に殺人事件があった不動産の場合、いつまで売却時に影響が出るのでしょうか。
ポイントは「告知義務がいつまで生じるのか」という点ですが、明確な期限が存在しないため、専門家によっても判断がわかれるところです。
ただし、どれだけ過去の事件であっても、建物を取り壊すまでは告知義務が生じると考えておいたほうが良いでしょう。
きれいにリフォームされていて事件の痕跡がまったくないとしても、購入後に買主がその事実を知れば「だまされた」と感じてしまうはずです。
また、なかには心理的瑕疵を一切気にしないという買主も存在します。
そのような買主を必ずしも見つけられるとは限りませんが、心理的瑕疵による大幅な値下げをしたくないという方は、ねばり強く売却活動を続けてみるのも一つの選択肢です。
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心理的瑕疵における重要なポイントは、「告知義務が生じるかどうか」の判断です。
もし、告知義務のある心理的瑕疵を隠して不動産を売却した場合、発覚後に買主から損害賠償や契約解除を求められるリスクがあります。
買主との不要なトラブルを避けるためにも、告知義務のある心理的瑕疵についてはかならず買主に伝えるようにしましょう。
なお、告知内容については重要事項説明書に記載して説明する方法が一般的です。
心理的瑕疵については、これまで明確な判断基準が存在しなかったことでトラブルが多発していました。
このように判断があいまいな事象によるトラブルを避けるため、2021年に作成されたのが「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」です。
ガイドラインでは、「買主の判断に重要な影響をおよぼすと考えられる心理的瑕疵については告知義務がある」との原則が示され、これまでの事例をもとに「現時点で妥当と考えられる一般的な基準」が示されています。
ガイドラインによると、自然死や病死については原則として告知義務が発生しません。
また、自宅の階段などでの転落事故、浴室などでの転倒事故、食事中の誤えんによる窒息死があった不動産も、心理的瑕疵物件に該当しないとされています。
ただし、亡くなってから長期間放置されていた場合など、状況によっては心理的瑕疵物件とみなされるケースもあるので注意しましょう。
宅地建物取引業法では、告知義務に関する明確な「時効」を設定していません。
しかし、心理的瑕疵の告知がいつまで必要なのかについては、2つの考え方があります。
まず、「事象が発生してからの経過年数」という考え方です。
たとえば自殺が発生した不動産を売却する場合、6年程度は告知義務が生じるとされています。
もう1つは、「事象が発生してから転売されたかどうか」という考え方です。
賃貸物件の場合は「自殺があったあとに入居した方が退去してから」は告知義務がなくなるとされていますが、不動産売却の場合は「事故物件の状態で購入した方が転売するときから」は告知義務が生じないとされています。
ただし、殺人事件があった場合など、取り壊されるまで告知義務が継続するケースもあるので注意が必要です。
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不動産売却時の心理的瑕疵に関するトラブルは、ガイドラインが作成されてからもなくなったわけではありません。
もし告知義務がある心理的瑕疵を隠して不動産を売却してしまうと、売主は損害賠償請求や契約解除といったリスクを抱えることになります。
心理的瑕疵に該当する可能性がある場合は、不動産会社と売却方針について検討しながら進めるようにしましょう。
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